ヒトコトLAトーキング #63 Pink in LA

今日会社に行ったら休憩室に小さな箱がありその中に同じデザインのバッジが沢山入っていました。一人一個持っていって良いというのですがピンクのリボンの形です。どうやら今月は “The Breast Cancer Awareness Month”だそうで、その後社員全員バッジをつけて写真を撮りサイトに載せたそうです。

Breast Cancer、 乳ガンに関しての事なので基本女性中心の活動です。バッジがピンクなのはそのためです。アメリカに住んでいてたまに思う事があるのですがこの国の人は女性っぽい、または男性っぽいという典型的なステレオタイプの意識が日本より強いように思います。色の選択がこのいい例だと思います。日本を含むほとんどの文化ではピンクっぽい色は女性っぽく、青っぽいのが男性っぽいというイメージがあります。世界の中でもかなり最先端を突っ走っている日本のポップカルチャーのせいなのか本当は目立ちたがり屋が多いのかわかりませんが、日本では赤やピンクなどのアウトフィットの男性が普通に見かけられるような気がします。全く気になることでもなく多分子供を持つ親達も男らしい色を選びなさいとかあまり言わないと思いますが日本が特別なのでしょうか。そもそもなぜ色でジェンダーを連想させるのでしょうか。
少しリサーチしましたが、その昔,1918年頃までは今とは全く逆でピンクは男性、青が女性という概念が普通だったという記事があるブログに載っていました。
June 1918 article from the trade publication Earnshaw’s Infants’ Department which says that, “The generally accepted rule is pink for the boys, and blue for the girls. The reason is that pink, being a more decided and stronger color, is more suitable for the boy, while blue, which is more delicate and dainty, is prettier for the girl.”
当時は男の子はピンク、女の子がブルーが一般的だという理由はピンクは意思が硬く(decided)、力強い(stronger)色であり、青はデリケートで上品(dainty)なので女の子にはさらに可愛くなるというのが一般的だったようです。面白いものです、全く今とは逆です。周りがそうならばきっと反対する理由もなさそうなのでなんとなくそんなトレンドだったのでしょうが、時間が流れ1941年頃から今の感覚に戻っていったようです。同じ上記サイトからですが、

 It was only around the time of World War I that the colors of blue and pink became more gender specific.

とありました。どうやら第一次世界大戦頃から色によるジェンダー識別がさらにはっきりと区別されてきたようです。

また別のサイトでも同様に第二次世界大戦後には, “changed dramatically”とあります。その動機とはとありますが子供服メーカーによる商戦によるものが大きく貢献していて、ジェンダーの違う複数の子供を持つ親達がそれぞれの子供服を間違わないようにという小粋な計らいから店頭ではっきり別れていったようです。アメリカでの話ですが戦争がやっと終わり商売に専念するようになったのでしょう。

 That changed dramatically after World War II, as corporate marketers promoted color-based distinction between boys’ and girls’ clothing. The motivation? It prevents parents from handing down clothes between siblings of different sexes, Ogata said, so children’s clothing designers, manufacturers and retailers could increase profits.

なぜピンクと青が逆転したのかはこれらサイトにははっきり書いていないので自分の考えですが、きっとどの色が男っぽいとか女っぽいとかもともとどうでもよかったんだと思うんですね。最初はピンクが男まさりな流行りだったのですが戦争が始まり男達は銃を持って戦場で戦うようになります。統率を保つため軍隊ではユニフォームが当たり前ですが、ごついソルジャーが全員ピンクで戦地で戦うのははまあ見た目派手な団体になりますねえ。森に隠れるにも目立ってしょうがない。ピンクの服で撃たれて死ぬより迷彩でまあしょうがないとなり、徐々に地味な色の方が男っぽい印象になっていったんだろう思います。現在のピンク・青のアパレル業界によるジェンダー区別の商戦はこうして始まったのはないのでしょうか。
長ったらしくなりましたが、今月のブレスト・アウェアネス推奨キャンペーンがピンクなのは今の女性の色を司っているようにも見えますが、歴史上で見れば本当はstronger, decidedという強い意味を表すシンボルなんですね。色で勝手な先入観を持つのは浅はかですねえ。ちなみにピンクリボンフェスティバルという日本のサイトでは毎月19日をピンクの日と提唱しているそうです。ブラザーコーンさんのように男性だって他人事ではない病気なので毎月でも毎日でも意識を高め撲滅されるといいです。