ヒトコトLAトーキング #67 モーバディー in LA

11月は英語でノベンバー (November)、ヒゲはマスターシュ (Mustache)と言いますが、オーストラリアの方ではたんに モー(Mo)という言い方もするそうで、モーとノベンバー、くっついてモベンバー。そんな言葉を会社同僚と話していました。オーストラリアに支店もないのに会社のホームページに載っていたのですが仕事には全く関係ない事です。

2003年、メルボルンのとある静かなバーである二人組の男が酔っ払いながらどうでもいい会話をしていた際、そういえば近頃の男達はよお、口ヒゲはやしてねえなあ。俺たちでまた流行らそうぜい。なんて冗談で話していたのが始まりだそうです。二人がモーを伸ばし始めたある時、彼らの友人の母親が乳ガンの募金活動をしているのを聞いてそうゆうのの男バージョンもあった方がええなあ。男なんでprostate cancer (前立腺)のキャンペーンの方が良いだろう。てのが始まりで一人10ドルで参加した人は11月にはヒゲを伸ばそうとこれがモベンバーの始まりです。最初に集ったeメールタイトルは “Are you man enough to be my man?” あんた俺のバディーにふさわしい程男らしいかい?そんな感じでしょうか。それに集まった人達は最初は30人。この30人のモーブラザー達が意気投合したようで徐々に男らしい仲間を真剣に増やしていこうと活動していきます。一年後の2004年には公式のサイトを立ち上げ会社を設立しました。オーストラリアの前立腺癌ファンデーションなる大きな団体からのサポートも得てこの年には450人のモーブラザーが5万4千オーストラリアドルを集めたそうです。またこの活動は海外にも広まり、スペインとイギリスが最初の海外拠点となりました。
In 2003, two mates from Melbourne, Australia (Travis Garone and Luke Slattery) were having a quiet beer at the Gypsy Bar in Fitzroy when their conversation turned to recurring fashion trends. The moustache, a fixture in past decades, was nowhere to be seen in recent trends. They joked about bringing it back. The two friends decided to talk their mates into growing a Mo. Inspired by a friend’s mother who was fundraising for breast cancer, they decided to make the campaign about men’s health and prostate cancer. They designed the rules of Movember (which are still in place today) and agreed to charge ten dollars to grow a Mo. Trav designed the first Movember logo, and they sent around an email titled ‘Are you man enough to be my man?’ They found 30 guys willing to take up the challenge. Those first 30 Mo Bros grew their moustaches with such enthusiasm that in 2004 a decision was made to formalise the concept and get all participants growing for a cause. Adam Garone stepped up to help take Movember to the next level, registered a company and created a website.
こんな調子で鰻登りで順調に世界中に広まり、去年2022年には2440人のモー社員が4.9ミリオンダラーのファンドを扱っている大企業になっちまいました。2003年に30人から始まったモーバディーは現在世界中に1万4千400人にまでなっているそうです。すごいモーです。

この金額になるには勿論企業からのファンドが大半でざっと参加企業をみているとトヨタがありましたがそれ以外の日本企業は目につきませんでした。そもそも日本人はあまりヒゲを生やしている人は少ないですね。チャットGPTに聞いてみました。

理由は一つと限定できないものの日本人のヒゲを剃る風習は歴史的、そして社会規範がルーツになっているようだと大袈裟な言い回しになってしまいました。内容は誰しも納得のできるものです。

日本の文化では、ヒゲのない清潔感のある顔は礼儀正しく (politness), きちんと整った(neatness)、適合性(conformity)のある印象を与えるのだそうです。これはプロスポーツ選手を見ればその影響がわかるとあります。確かにアメリカの大リーグ選手を見るとモジャモジャがいっぱいいます。昔ドジャースファンのアメリカ人の友人と試合を見ていた時の事ですが、負け試合と分かったときに、こいつらヒゲで球が見えてねーんだと彼はぶつくさ言っていたのを思い出しました。

また日本の職場ではプロフェッショナリズム、適合性が強調される場であるためヒゲとドレスコードについては厳しくチェックされるようだとあります。これも日本人であればまあ当然でしょう。

日本はとにかく清潔感というイメージがきっと最優先されるべき文化なんですね。男はヒゲどころか眉毛も整えるのが今では当たり前なので落ち武者のような風体はやはりジロジロ見られてしまうんでしょう。

ニューイングランド大学のあるリサーチによるとアゴヒゲは顔の怒りや友好の表情を倍増する効果があるらしいです。口元の上がり下がりでヒゲの生えている場所の筋肉も一緒に動くからなのでこれももっともな事です。ヒゲを生やしている欧米各国の代表達もこの理由のせいかそう言われればあまりいないかもしれません。サンフランシスコで近々バイデン大統領と習近平首席が会談をするそうですがもし二人がヒゲを生やしていたら、会った瞬間にお互いの気持ちを読み取れるのでしょう。いきなり取っ組み合いが始まるのでしょうか。たちまち戦争が起きてしまうのでしょうか。この二人はやはりヒゲはない方が良さそうです。

所変わってイスラム圏の男性はヒゲについては全く違う見解があるようです。預言者ムハメットによる伝統、ヒゲも自然の産物であり当然あって然りだという考えが普通のようです。イスラム教にFitrahという教えがあり、その基本概念は Natural Predispostion ”生まれ持った素質”を大切にしなければいけないと説いているそうです。ヒゲも勿論自分の生まれ持ったある意味才能のようなものの一つなので普通に伸ばして当たり前じゃないかという事です。なのでイスラム教国家の代表は皆モジャモジャですね。けれどあれだけ生えてしまえばもはや顔半分ヒゲで埋まってしまっているので表情も何もわからないような気もします。社会的にも認められているので彼らは皆ひげを生やして会社に行き生活をして家族と楽しくやっていけるわけです。お前ヒゲこいななんて会話は彼らの間では多分しないんでしょう。このヒゲ!というバカにする表現もないでしょう。お互い違いを主張し合うと揉め事になるんでしょう。

モベンバーの話しに戻りますが、メインサイトにいくと女性や子供もつけヒゲで写真をアップロード出来まるので誰でもすぐにモーバディーになれます。生活に支障をきたさない範囲で一年に一回やってみるのはどうでしょうか。