ロサンゼルスから210フリーウエイを乗って一時間ほど東に向かうとサンベルナルディーノという比較的田舎町につきます。今から84年前、1940年5月15日、世界で最初のマクドナルドがこの街でオープンしたといわれています。
ニューハンプシャーから来た兄弟、リチャードとマウリースの2人の兄弟が始めたバーベキューレストランが発端になるそうです。オープンの10年前と言えばちょうど世界大恐慌後、当時彼らは映画館を運営していたのですが借金ばかりで経営不振の中、ある日近所にあるホットドッグ屋の方がよっぽど売れているように思いホットドッグ屋に転向、いきなり売れ行きは上がりモンロビアという街からサンベルナルディーノへ移動、ついにはマクドナルドバーベキューという名前でハンバーガーを売りだしました。
車産業が発達し, 通勤、デート、家族でお出かけなどとにかく車が主体の生活になり、客の無駄な動きを避けるように始まったのがドライブイン, または カーホップ (carhop)とも呼ばれているものです。実際の所は1933年に最初にオープンしたドライブインシアターからレストランにもこのスタイルが流行していきました。これを聞いてすぐ思いつくのがローラースケートを履いたスカートのおねーちゃんが車に乗っているリーゼントのおにーちゃんにバーガーとミルクシェークを持っていく様子を想像してしまいますがこれは1950年代のブームで40年代にこのスタイルは確立されていなかったようなので、当時は意外と地味な風体だったのかも知れません。
バーガーショップ開店8年後、彼らのビジネス商法は流行りに乗った華やかさではなく、“Speedee System” と呼ばれる商品を速く出すことを焦点とし、メニューの簡素化とカーホップの撤去、この二つを徹底したそうです。この頃からバーベキューはメニューから姿を消し、バーガー、ポテトフライ、ミルクシェークの基本3点のみをベースにしました。なんだか今のインアンドアウトバーガーに似ている気がしますが、実際はこの簡素化によるファーストペースはマックからのもので、今のファーストフードの始まりとなります。
In a bold move, they temporarily shut down the place in 1948 and reopened with a new, experimental approach. They simplified the menu to focus on burgers, friesand milkshakes and got rid of those characteristic carhops, who were ubiquitous in the industry at the time.
このスピーディーシステムはフードサービス業界には画期的なもので、マック先駆者達は当時の技術を使った機械やシステムを最大限生かし客を引き寄せていきます。バーガー素材の品質よりも速さの方が重視されていたのは歪めない事実だったでしょう。とにかくマックは急成長、似たようなバーガー屋さんも出始めて競争は今でも激化しているのは誰もがみて分かるとうりです。そして今ではどれだけ天然素材からかけ離れてしまっているかも事実ですがもはやそんな事で騒がれても気にしない程の安定企業になっていったんですねえ。しかも当時は今ほど食品に使われる添加物や肉の規制などあまり気にする人もいなかったでしょう。安くて速く、長持ちして適当にうまいバーガーの研究が始まったわけです。
ちなみに今では当たり前に見るあの黄色いロゴ、ゴールデンアーチ、ジムシンドラーというデザイナーによるもので、1962年アリゾナ州フェニックスのマックから使われ始めたようです。それまでは文字でマクドナルドバーベキューなどと書かれたものだったのでかなりのイメチェンとなりさらに人気を呼んだそうです。