DNC (Democratic National Convention)民主党全国大会が今週シカゴで開催されました。そして元副大統領カマラ=ハリス氏が民主党代表として大統領出馬を公認しました。いきなりコロナに感染したバイデン大統領から指名を受け最初は民主党の行き詰った代任程度のように言われていましたが今ではトランプ氏を代表にした共和党をわずかに上回るほど支持を受けているようです。
“So, on behalf of the people, on behalf of every American, regardless of party, race, gender or the language your grandmother speaks, on behalf of my mother and everyone who has ever set out on their own unlikely journey on behalf of Americans, like the people I grew up with, people who work hard, chase their dreams and look out for one another, on behalf of everyone whose story could only be written in the greatest nation on Earth, I accept your nomination for president of the United States of America.”
インド人のお母さんとジャマイカ人のお父さんを持つハリス副大統領。民主党大会でステージに上がると熱止まない声援に向かって “Thank you! Let’s get to business!”、本題にはいりましょうと何度も観衆をなだめるシーンから始まりました。最初のスピーチはダグという旦那さんへのアイラブユーでした。あなたはコールとエラという二人の子供達の素晴らしい父です。そしてハッピーアニバーサリー!と結婚記念日だったことも打ち明けます。公衆のスピーチでこういったオープニングステートメントをする日本の政治家はほとんど聞いた事がないですね。次の総理大臣になる人には笑顔で爽やかにこんなスピーチをする就任式に期待したいです。特に石破さんあたりに言ってもらえるとなんだか人間ていいなあと思うかもしれません。
彼女は続いて現バイデン大統領に感謝しています。勿論彼の推薦なのでもっともです。これに続いて彼女の両親の話に続きますが少し感動してしまいました。乳がんの研究に貢献するため19歳でインドから渡米した母。人種差別や言葉の壁を退き中流階級アメリカ人として二人の娘を立派に育ててくれました。その娘の一人は今や大統領候補なんでまあ説得力あります。
中流階級として育った家族の経験を、ミリオネアー、ビリオネアーを待遇しようとするトランプの方針と比較し、とにかく皆平等に弱い立場の人達が声を上げられる国にしようではないか。妊婦の中絶を強制させるような社会でいいのか。零細企業や中小企業、誰でも平等にチャンスはあり成功させる社会を提供しなければいけないと熱く語っていました。
残りのスピーチもトランプとの比較が多く、イスラエル・ウクライナの国際情勢、保険制度、児童福祉、国家安全保障、税金制度、メキシコとの国境問題、性犯罪など一通り問題となっている課題にふれていました。
気づいた事はインフレなど金融問題に関しては触れていなかったようです。彼女の職務経験上、お金に関するビジネストークは得意ではないのかもしれません。なのでトランプ氏側の共和党は次回の答弁会で国の財政に関するトピックが出た際にはこれを弱みにつけこむような気がします。
およそ40分程のスピーチでしたが何故か気になるラインがありました。なんとなく彼女の性格を表しているように思えてしまいます。
An America, where we care for one another, look out for one another, and recognize that we have so much more in common than what separates us.
”私たちがお互いを気遣い、思いやり、そして私たちを隔てるものよりも多くの共通点があることを認識しているアメリカ。” 相違点よりも類似点を模索する考えはとてもいいですね。
ハリス氏の全スピーチは下記リンクにありました。読んでみるのもいいかもしれません。
11月までの選挙までにどちらも投票数を稼ぐのに必死です。そこで重要になってくるのは著名人のサポートです。 やたらと最近 Endorsement、エンドースメントという言葉を聞きますがまさに支持という意味です。一般人を投票数に巻き込むためにはセレブなどのインフルエンサーの支持が大きく左右します。ハリウッドセレブサポート獲得は当選の重要なポイントになるでしょう。
現在わかっているトランプ氏を支持するセレブにはハルク=ホーガン、キッドロック、イーロン=マスク、ダナ=ホワイト(UFC President), デニス=クエード、アンバー=ローズ、ドン=キング などがいるそうです。何故か格闘技ビジネスを代表するような人が揃っているようにも思えます。ちなみに共和党全国大会の時、セリーヌディオンのタイタニックのあの曲が流れたものの勝手に曲を流すなと本人からトランプ氏へ直接クレームをいれたなんてニュースを聞きました。
一方民主党側、ハリス氏のサポーターには, ジョージ=クルーニー、ジョン=レジェンド、ベン=ステラー、シンシア=ニクソン などが有名な民主党サポーターのようです。 こちらはビジネスに関連しているサポーターが多いイメージがあります。
どちらか公式に発表していないセレブの中でも特に注目されているのがテイラースイフトです。バイデン大統領にはサポートの意思を出していたのですがハリス氏に対してははっきりした意思表示をしていないようです。しかし彼女も人の子、彼氏であるトラビス=ケルシー所属のアメフトチーム、ホームグラウンドはカンサス州です。チームユニフォームは真っ赤な共和党を思わせますが、州の議席は民主党が多いらしくどちらかというとバイデン氏側の民主党サポーターが多いようです。実際トラビス選手は民主党大会でハリス氏の演説をシカゴに見にいくというコメントをしていたらしいです。当日会場には現れなかったもののやはり彼も民主党側のようでそうなると彼女もその可能性が十分高いと思われ今回大統領選挙の勝利者はハリス氏になる可能性が多いと、勝手に予想を立てています。
ちなみに今回の民主党全国大会はシカゴで開催されましたが、民主党よりの都市の代表らが応援のスピーチをしています。ロサンジェルス市長、カレン=バス氏もその一人でハリス氏に激励を送りました。バス氏も歴史上初めて女性のロサンゼルス市長就任。カリフォルニア州を代表する街の市長の支持がある以上、西海岸全体からのハリス氏へのサポートは揺るぎ難いものになるでしょう。