ヒトコトLAトーキング #81 Graffiti in LA

グラフィティ(graffiti), 落書きという意味ですがロサンジェルスの街は世界の中でも有数ならくがき名所が沢山あると聞いたことがあります。ポップアート、ストリートアーティスト、ギャング系、多分そんな言葉でどんな絵面か想像できますががだいたい目に止まるものは閲覧料とってもいいくらいすげえものがありますが最近ダウンタウンにある建設途中の廃墟ビルでの落書きが取り沙汰されています。

ある中国系の会社が建設していた高層ビル、オーシャンワイドプラザという名前をつけられ、タワマン、ショッピングモール、ファイヴスターホテルなど多目的高級志向ビルを目指していたらしいのですが2020年にその会社が倒産。それから建設も中止されたものの27階の高さまで建ててしまってあるのでやたらにどでかい廃墟は遠くからでも目立つ存在となっていました。ストリートアーティストや夜中に遊びたい連中にとってこんな楽しい場所はなかったようでまあ犯罪に関わるような色々なアクティビティーも行われていたようです。何処か誰かのyoutubeではこのビルの上から飛び降りてパラグライダーをした様子などもあるようです。色々楽しみもありますがビルの落書きもその一つで、写真や動画から見ると27階建てそれぞれの階がカラフルなギャング風フォントで装飾されてしまいました。何かの映画のシーンを思いだす感じもありますがとにかくほぼ高層ビル一個分のお絵かきになってしまったので目立ってしょうがなく、風気にも関わるとニュースで話題になってしまいついに今週ロスの市議会と警察が動き出しました。

ニュースでもよく見る映像を見る限りでは多少カオス的でいかにもロスっぽくて別にいいじゃないかと思うのですがこの場所がダウンタウンの一等地、プロバスケやホッケーの試合、グラミーなどでも使われるクリプトドットコムアリーナの目の前というのもありやはりほっとけなかったのでしょう。ロサンジェルス市議会はこれまでオーシャンワイドプラザビル責任者になんとかするよう要求していたものの全くの無視。しょうがなく市が自分達で始めることとなったようです。ただし一斉に始まったこのビルの清掃予算は1.1ミリオンダラー(今の相場でざっと一億5千万円ほど)これはビルを囲むフェンスや清掃現場を確保するための費用だけらしく、作業中のセキュリティーや実際の清掃作業の費用を考慮するとさらに2.7ミリオンダラー必要となるようです。結局の所この費用は税金からとなるのでしょうが、それもどうも納得がいないです。

ニュースリポーターが街の人にインタビューする記事がありましたが真面目に回答しているものが意外と面白いです。

“I looked up and I seen it, but then I seen the people up there,” Chris Taylor, who was in town from Atlanta. “I was like, oh, they still got more to do!”

“ビルの上を見上げたら人が絵描いてんの見たよ。ああまだかなり塗るとこ残ってんなあって思ったよ” アトランタからのある旅行者のコメントのようですが呑気でいいです。
他のインタビューも似たようなコメントがあります。
“It’s so tagged up how,” said Phoebe Lopez. “How the heck did they get up there? It’s crazy. And then he’s like, I think I saw it on the other side as well.”

“I was surprised,” said Nick Davis, a resident of Scottsdale, Ariz. “I mean, you look at a building like that and you think: How does somebody tag a building like that?”

”こんな高いとこになあ。どうやって上まで行ったんだよ?クレージーだよな!驚いたよ。なんか見上げたらこんな状態だろ?誰がなんでこんな事するんかねえ?” とつぶやいているようです。
“At first, I was pretty amazed that they even got up there,” said Jason Lugo. “Because, you know, it’s a pretty tall building. To be able to hit that high, it’s pretty interesting. People have a lot of, uh, I guess you could say bravery, to just sneak up there and get up there and tag it up.

最初は驚いたよ。なんせこんな高い廃墟ビルだろ。わざわざ落書きのために上まで行ってある意味勇気あるよなあ。とそんな感じのコメントでしょうか。

どこのニュースでも今回のグラフィティに関しての犯人追及などについては詳しく触れていません。このニュースを見ていて感じることは廃墟になるような場所で落書きやら多少の違法行為はしょうがないことで犯人を見つけることに時間と費用をかけるより街全体でそうゆう環境を除いていこうという印象を受けます。 どんな状況であっても、そして軽犯罪であろうが無かろうがまず罪を犯した人間を捕まえ吊し上げるというのがある意味日本ぽい考えのような気がします。日本の検挙率はかなり高いとありますがそれも本当にいいのか悪いのか。違うアプローチで環境を良くする方法もあると思ってしまうのですがどうなのでしょうか。