ヒトコトLAトーキング #186 ちょいと月までアルテミス

4月1日、エイプリールフールにオライオン宇宙船は無事月に向けて飛んできました。これは今の所三段回に分かれているアルテミス計画の2回目のフェーズです。アルテミス Iでは無人宇宙船のお試し版のようなもので2022年11月16日にフロリダケネディースペースセンターから出発、月を回って無事地球に戻ってこれたので、今回、4年越しで同じルートを今度は有人宇宙船で達成しようというフェーズまでこぎ着けました。

四人の宇宙飛行士はまずロケットで大気圏を出てから地球を回ります。ハンマー投げのように地球を軸にぐるぐるっと24時間かけて地球を2度回る頃にはかなりのスピードになります。その勢いでスピードが乗った所でうまいタイミングでジェット噴射し一気に月へ向けて飛び立ちます。ハンマー投げもタイミングを外せばとんでもないとこへ行くのでこの噴射のタイミングはオライオン宇宙船の航路にとってかなり重要なところです。ちなみにこの噴射はTLI Burn (Translunar Injection) なんて言われてるそうです。

無事月まで接近してからは、今度は月の重力を使ってぐるっと裏側を回って方向を定めてから地球へ向かうわけですが一旦地球への方向が定まればあとはほとんどエンジンなど使わずに惰性で戻って来れるらしいです。そして無事地球に戻るのは10日ほど後で予定では太平洋、サンディエゴ沖に着地予定だそうです。

アルテミス II では人類歴史上ほぼ50年ぶりとなる遠出の旅行になります。前回は映画でも有名になったアポロ13号ですが、1970年当時、誰かに聞いた話では当時の宇宙船に搭載されたコンピューターは今となれば誰でも持っているiPhoneほどのメモリーや機能すらなかったとか。もちろん1970年代なんで人々はガラケーすら知らない世界。よく人を月まで行かそうと考えたもんです。綿密に計画していたとしても一か八かの自殺行為だったのかもしれません。それにに比べれば今の技術の飛躍はとんでもないわけで多分間違いなく成功するんだと思います。そしてこの成功の後、ついに最後のフェーズ III が始まります。ついにこれで人間が月に行くことになります。1969年、アームストロング船長が有人月面着陸以来となりますが今の予定では2028年頃だそうです。

アルテミス計画の目的ですが、昨日ポットキャストの特集で聞いた話だと3つあるそうです。

一つ目はヘリウム-3 。 

地球上ではもんのすごい希少価値のある材料ですが月には豊富にあるらしいんです。ヘリウムの同位体らしいのですがエネルギー生産、極低温、医学分野などで超役に立つようで特にエネルギー分野ではクリーンエナジーという点では特別優れているんだそうです。


The need for helium-3 and its abundance on the Moon is the main reason why Interlune exists. We’re running out of critical resources to sustain Earth, and developing the technology to harvest them from the Moon and elsewhere solves many problems and is a significant market opportunity.

With a current market price of about $20 million per kilogram, helium-3 is the most valuable resource one could harvest from space. By the decade’s end, Interlune will bring it back from the Moon for commercial, research, and national security applications.

ヘリウムー3の地球上での価値はたった1キロで20ミリオンドルほどで現在取引されているようです。気体なのでボリュームはあるものの、ざっと32億円です。すでに普通の人にはよくわからない桁ですがこの1キロ分のヘリウム-3を使って生産できるエネルギーは19メガワットの年間発電量に相当するんだそうです。これは全世界の産業および社会的なニーズを31秒間賄うことができる量だそうです。今の全日本人がこのエネルギーを消費しようとした場合だと、およそ1時間半はもつという量です。 このヘリウムー3が月に多く存在する理由ですが、これは太陽風によって堆積されるものらしいんですね。地球のような大気でしっかりカバーされていない月の土壌表面に太陽風がそよそよ吹き、その結果一番上の層に含まれる土壌に蓄積されるんだそうです。なので摂取するには穴を掘るというより、表面をさらっていくという作業になるそうです。バイトの募集があったら楽そうでいいかもしれないですね。

二つ目は水の確保。

学校で習った水の元素記号は H2O なんで、水素と酸素からできているのは習った覚えがあります。月で水を見つけて水素を生成することができると燃料として使えることができるため、将来月がガスステーションとして使える可能性があるそうです。火星やユーロパなどさらに遠くへ旅行する途中の休憩店ともなることがあればなんだか夢のあるすごい話しですねえ。

そしてもちろん飲料水としての使用も魅力の一つです。生命維持に必要な飲料水を月へ持っていくのには膨大な費用がかかります。例えば500ミリリットルの水を月へ持って行こうとした場合。水の重さを500グラムとするとそれを地球から持ち上げ、月まで運ぶ燃料は500グラム以上必要になり、必要な追加燃料自体の重さも加わるとさらにもっと多い燃料が必要になります。そんなこんなでコンビニで買える水一杯程度がざっと8千万円ほどになるという計算らしいです。

ちなみにもちろん月には海や湖はないわけですが月の南極の方はとてつもなく寒い場所らしくいつか次回のアルテミス計画で月面着陸をした際には氷を探すことになるようです。どれだけ地中を掘るのかはわかりませんが燃料にするほどの水が果たして採れるのでしょうか。乞うご期待なんでしょう。

3つ目はアルテミス計画のゴールでもある、月面での建造物です。

世の中には宇宙条約というものが存在していたらしく、1967年にアメリカ、中国を含めた多くの先進国がこの同意書にサインしていたそうです。この条約の11項には、”月は、主権の主張、使用若しくは占有、又はその他のいかなる手段によっても、国家による専有の対象とはならない。” とあります。

Article 11

2. The moon is not subject to national appropriation by any claim of sovereignty, by means of use or occupation, or by any other means.

そんな縛りがあるわけで、最初にここに国旗をたてたからもう俺たちのものだってわけにはいかないんですね。ならば先を争って無理して今行こうとしなくても良さそうですが、それがそうでもないらしいんですね。

月面に関しては確かに誰の所有でもないのですが、建造物・建設機器などに関しては所有が認められるようで、誰かの作ったものに関してはそれを邪魔しない程度のスペースを取らなければならないという、セーフティーゾーンが義務付けられるそうです。誰しも南極の氷のクレーターの上に事務所を構えることができれば誰にも邪魔されずに採掘作業ができます。これが実現するのもそう遠い未来ではなさそうなのでまだまだ生きてて面白いこともあったもんだと思いますねえ。

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