ヒトコトLAトーキング #206 草間彌生 in The U.S

草間彌生さんが亡くなりました。1958年に渡米してから68年間の今まで、現地アメリカでの活動もすっかり根についていてその功績もしっかりと国を超えて称えられています。

1950年台後半、アメリカは”Abstract Expressionism”, 抽象表現主義 がメインストリームだったとあります。このアートスタイルに関しては当時ニューヨークが世界の中心であったようですが このアヴァンギャルドムーブメントの流れに押されるように草間さんも移住したわけです。当時の日本のとんでもない保守的文化と虐待的な母親に耐えきれなくなったことが移住の理由だそうですが母親が渡米前にお金を渡した時、もう2度と実家の仕切りをまたぐなと言われそれに腹を立て自分の作品を全て消去したという話には驚きます。

the stifling conservative Japanese culture and her abusive mother proved too much for Kusama, and in 1957 she moved to the United States, settling in New York City in 1958. Before she left, Kusama’s mother handed her some money and told her “to never set foot in her house again.” In response, Kusama angrily destroyed hundreds of her works.

英語に関しては独学。渡米したばかりの頃はバイリンガルの知人からの言葉のサポートが必要だったらしいのですが語学学校も行かず一人で生活しながら身につけていったようです。明確な目的があれば言語の壁は意外と簡単に超えられるんですね。言葉は単にツールでしかないといういい例なんではないでしょうか。何はともあれアメリカンアートオーガニゼーションという団体からのサポートによって1963年にはグリーンカードを取得したそうです。当時のグリーンカード取得は今よりももっと簡単な手続きだったんでしょう。

そんな彼女の渡米した後すぐの代表作は “Infinity Nets”(無限の網) だそうです。”反復的かつ瞑想的なその制作プロセスは無限や自己の消滅、そして幻覚体験といったテーマを反映しています。” と多分こうゆう画風を作成するのが一番苦手そうなAIがこう説明しています。ちなみにジェミニに今の超越デジタル時代に”無限の網”を作成するのは価値があるのか、時間の無駄なのかと聞いてみた結果、こんな回答が来ました。

Far from a waste of time, Infinity Nets is a powerful testament to why human art matters in an age of automation.

An AI can instantly generate the image of a net, but it can never generate the struggle, the hours lived, or the psychological urgency behind it. Kusama’s work proves that art is not just about the final image on the wall—it is about the human spirit recorded in the process of making it.

“Far from ~”なんて言い出しからわかるように時間の無駄とは程遠いと言っています。むしろその全く逆でオートメーション化の進んだ現代だからこそ人間の手で作ったこのようなアートがいかに重要であるかを伝えるための貴重な証言であるとそんなこと言っています。AIであれば瞬時に作れるのは間違い無いが、莫大な時間と労力を使って想像する人間の手作業でのプロセスに価値があると、まあそのとうりですがなぜかAIからの上から目線的な回答がどうも腑に落ちません。

60年代に入ると、一世を風靡していた Abstract Expressionism, 抽象表現主義に対してついに反発的なアイデアが出始めます。大量生産された消費財や大衆メディア、そしてアイロニーを再び純粋芸術へと取り入れようという動きが流行りになりますがこれがポップアートと言われるスタイルの始まりです。

そしてポップアートといえば多分誰でも聞いたことのあるアンディワーホールが超有名です。写真やレーベルなど既にあるものを題材にしているイメージがありますが、一説によれば、この一つのモチーフをリピートして全体を作っていくというアイデアは草間さんの作品から影響を受けているのではないかとも言われているようです。マリリンモンローの写真を並べたものが有名ですがあれはまさにそんな感じですね。実際二人は同じタイプのニューヨクのアーティストとして面識はあったそうです。

In fact, some art historians argue that her contemporaries took inspiration from her work. Andy Warhol became famous for using repetition in his prints and paintings – but Kusama had exhibited repeated prints long before Warhol. Claes Oldenburg became known for his soft sculptures, but Kusama had already debuted her own some months prior in the summer of 1962. [v]
ポップアートの普及からさらに新しいアートスタイルの波及により草間さんの芸術活動が狭まれていったこともあり1973年、日本に永久帰国しました。それから今月の8月14日94歳で亡くなるまで日本でずっと芸術活動に明け暮れていたそうですが、ニューヨークだけでなくアメリカ全土に芸術発展に貢献したのは間違いないようです。東海岸のニューヨークから真逆に位置するロサンジェルスでも彼女の作品に影響を受けた著名アーティストも多いようです。 Claes Oldenburg:ポップアートで知られる彫刻家。ロサンジェルスで芸術活動をしてきた彼は1960年にニューヨークで一緒にアートギャラリーを開催したそうですが、彼の作品は草間さんの影響を強く受けているそうです。 Mike Kelley & Paul McCarthy: ロサンゼルスを拠点とする著名な現代アーティスト。彼らの過激なパフォーマンス、ソフト・スカルプチャーなどの作品は、草間さんが先駆的な役割を果たした1960年代のアヴァンギャルドやボディ・アートの動向から多大な影響を受けていたんだそうです。 Takashi Murakami:東京を拠点としつつも、村上さんはロサンゼルスでも重要な存在感と活動の足場を築いています。日本の現代アートの系譜を継ぐ者として、村上はしばしば草間を日本の視覚文化と国際的なアヴァンギャルドのスターダムとを架け橋で結んだ極めて重要な先駆者として挙げているんだそうです。

Leave a Comment